障害者支援施設で働く現場3年目の准看護師ですが、術後の利用者さんの診察に往復3時間以上付き添って帰ってきた日、自分自身の中にも「関心の薄さ」があることに気づいて、しばらく考え込みました。答えをくれたのはサビ管(サービス管理責任者)の一言です。
この記事では、①術後の利用者さんへの「温度差」がなぜ生まれるのか ②「怖い」の正体が実は「知らない」だったという気づき ③温度差を解消する3つのヒント、を現場の実体験から書きます。
術後の利用者さんを前にした、あの「静けさ」の正体
手術を終えて戻ってきた利用者さんがいます。施設の中に、明らかな「温度差」がありました。看護師である自分は、身体状態の確認や点眼の処置など、動く理由があります。でも男性の支援員たちは、その利用者さんの近くにあまり寄っていきません。声もあまりかけません。
最初は「なんで関わらないんだろう」と思っていました。でも振り返ってみると、これは自分が期待しすぎていただけかもしれません。
「怖いんじゃなくて、知らないんだと思う」——サビ管の一言
サビ管はこう言っていました。「男性職員って、術後の利用者さんに関わるのが怖いのかもしれない。でも怖いっていうより、関わり方を知らないんだと思う」。
これは鋭い指摘だと思いました。「怖い」という言葉だと、なんとなく感情の問題に聞こえます。でも「知らない」という言葉に変えると、とたんに解決できる問題になります。知らないなら、知ればいい。動き方がわかれば、人は動けます。
看護師の自分も、同じだった
そこで気づきました。あの日の自分も、同じだったんじゃないかと。術後の診察に同行して、一緒に帰ってきた。疲れていたのもあります。でもそれ以上に、「術後の利用者さんに今どう関わればいいか」が自分の中で整理できていませんでした。情報共有や引き継ぎが十分でなくて、「どう声をかけていいかわからない」状態になっていたんです。
看護師だから身体面では動けます。でも「この人が今どんな気持ちでいるか」「どんな言葉をかけるといいか」——そこへの関わり方が、うまく掴めていませんでした。「温度差」は冷たさではなく、「手がかりのなさ」から生まれていることが多いと思います。
「知らない」を解消する3つのヒント
では、どうすれば職員が動ける状態を作れるのか。私が現場で意識するようになったのはこの3つです。
✅ ② 声かけの例をひとつ渡す——気の利いた言葉は要りません。「おかえりなさい、待ってましたよ」で十分。最初のひと声の見本があるだけで距離は縮まります
✅ ③ 役割の線引きを明示する——「創部の観察と処置は看護師がやります。皆さんはいつも通りの関わりをお願いします」と伝える。医療は看護師が持つとわかれば、支援員はいつもの支援に戻れます
ひとりで「なんで関われないんだろう」と抱え込んでいても、何も変わりません。情報をちゃんと共有する。「こういうときはこう声をかけたらいい」を、さりげなく一緒に確認する。それだけで、あの「静けさ」は少しずつ変わっていきます。
術後によく出る「現場の質問」に、看護師が先回りして答える
もうひとつ効果的だったのが、職員から実際によく出る質問に先回りして答えを配ることです。「お風呂はいつから入れますか?」「日中活動は参加していいんですか?」「食事はいつも通りで大丈夫?」——術後、現場が知りたいことは毎回だいたい同じです。受診に同行した看護師が医師に確認して、施設に戻ったらこの3点をまず共有する。質問が出る前に答えがある状態を作ると、職員は迷わず、利用者さんの生活も止まりません。
✅ 術後の利用者さんへの「温度差」は、職員の冷たさではなく「関わり方を知らない」ことから生まれる
✅ 「怖い」を「知らない」と言い換えると、解決できる問題に変わる
✅ 看護師も情報共有が不十分なときは同じ状態になる
✅ NGラインの共有・声かけの見本・役割の線引き——この3つで職員は動けるようになる
✅ ひとりで考え込まず、現場と一緒に「次の関わり」をつくる
※ 本記事は障害者支援施設で働く現場看護師の一次情報・体験に基づく内容です。事例は特定を避けるため一部抽象化しています。医療的な判断や処置については、必ず医師・専門家にご相談ください。



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