医療職と福祉職、わかり合えない?施設看護師が感じる「伝わらない」の正体

准看護師のキャリア
「看護師さん、この利用者さん今日入浴していいですか?」——支援員からこう聞かれて、私は答えを返します。「熱もないし血圧も問題ないので大丈夫ですよ」。でも伝わらないことがある。「なんで大丈夫なんですか?」という顔をされる。

障害者支援施設で働く施設看護師として3年目になりましたが、「医療的には正しいのに、なぜか支援員に伝わらない」という場面に何度も直面してきました。

これは看護師側の説明不足なのか、支援員側の理解不足なのか——どちらでもないと今は思っています。医療職と福祉職は、そもそも「ものの見方の軸が違う」んです。この記事では、その「ズレ」の正体と、私なりの対処法を書いてみます。

医療職と福祉職、そもそも「見ている軸」が違う

看護師は医療の世界で育ちます。バイタル・病態・治療方針——数値や根拠をもとに判断する文化です。「体温37.8℃、血圧正常、SpO2正常、よって入浴可」という論理的な思考回路が染みついています。

一方、支援員は福祉の世界で育ちます。「この利用者さんはいつもと様子が違う」「表情が暗い」「さっき食欲がなかった」——数値より、その人の「らしさ」の変化を見るプロです。

📊 医療職と福祉職の視点の違い

看護師が見ているもの:バイタル・病態・治療方針・医学的根拠
支援員が見ているもの:利用者の「いつもとの違い」・行動特性・生活リズム

どちらが正しいではなく、どちらも正しい——軸が違うだけ。

この「軸の違い」を理解していないと、お互いに「なんでわかってくれないんだろう」と消耗し続けることになります。

「伝わらない」が起きやすい場面

日常ケアの判断場面

入浴可否・活動制限・食事形態の変更——これらは医療的判断と、利用者の生活・障害特性の両方が絡む場面です。

「医学的にはOK」でも、支援員からすると「でもこの人、今日は落ち着かなくてパニックになりそうで……」という懸念がある。逆に「医学的には安静が必要」でも、「でもこの人、動けないとかえってパニックになるんです」という事情がある。

障害特性に関する知識は支援員の方が圧倒的に深い。これは素直に認めるべき部分だと思っています。

「なんでそうするの?」と聞かれる場面

支援員から「なんでこの薬を飲ませるんですか?」「なんでこのタイミングで処置するんですか?」と聞かれることがあります。

答えはわかっている。でも「医学用語を使わずに、生活支援の言葉で説明する」のが難しい。「血圧が高いので降圧剤を服用しています」という説明は正確ですが、支援員が本当に知りたいのは「じゃあ今日の活動でどこに気をつければいいか」だったりします。

私が意識するようになったこと

①「なぜ」より「どうすればいい」を先に伝える

支援員が知りたいのは医学的な根拠より、「自分は何をすればいいか」です。

「血圧が高めなので、今日の入浴は短めにして、上がったらすぐ声をかけてください」——理由より先にアクションを伝えると動きやすくなります。理由は聞かれてから補足する形でいい。

②支援員の「いつもと違う」を信じる

「バイタルは正常だけど、なんか今日おかしいんです」という支援員の感覚は、バカにできません。毎日利用者と接している人の直感は、数値に表れない変化を捉えていることがあります。

「数値は問題ない」と切り捨てず、「何がいつもと違う?」と掘り下げることで、初期症状を早期発見できた経験が私にもあります。

③「私は医療担当、あなたは生活担当」ではなく重ねる

役割を分けすぎると連携が薄くなります。看護師も利用者の生活を知る努力をする。支援員も健康管理への関心を持てる環境をつくる。

入浴支援に一緒に入ったり、食事介助の場面に顔を出したりすることで、「看護師も現場を知っている人」として見てもらえるようになりました。信頼関係は業務の中で積み重なるものだと思っています。

施設看護師は「翻訳者」だと思っている

最近、施設看護師の役割は「医療と福祉の翻訳者」だと思うようになりました。

医師・病院側の言葉を支援員にわかりやすく伝える。支援員が感じている利用者の変化を医療側に正確に伝える。その橋渡しができるのは、両方の世界に足を置いている施設看護師だけです。

「伝わらない」とイライラするより、「どう言えば伝わるか」を考える方が建設的だと気づいてから、少し楽になりました。完璧に伝わらなくても、少しずつ積み重ねていくしかないし、それでいいと思っています。

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まとめ

📝 この記事のポイント

✅ 医療職と福祉職は「見ている軸」がそもそも違う
✅ 「伝わらない」は能力の問題ではなく文化の違い
✅ 支援員には「なぜ」より「何をすればいい」を先に伝える
✅ 支援員の「いつもと違う」感覚は数値より早いことがある
✅ 施設看護師は医療と福祉の「翻訳者」
✅ 信頼関係は現場を一緒に動くことで積み重なる

同じ悩みを抱えている施設看護師の方、ぜひコメントやお問い合わせで話しかけてください。「うちはこうしてる」という話を聞かせてもらえると嬉しいです。

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