正直に書きます。私は褥瘡らしき状態に気づきながら、1週間、受診につなげられませんでした。かっこいい理由はありません。どう動けばいいか、わからなかったのです。
障害者支援施設で働く現場3年目の准看護師が、この失敗談と、そこから整理した「受診判断に迷ったときの動き方」を書きます。同じように施設でひとり判断を抱えている看護師さんに届けば嬉しいです。
気づいていたのに、動けなかった1週間
障害特性から長時間同じ姿勢で過ごすことが多い利用者さんがいます。ある日、皮膚の状態を確認したときに「これは褥瘡かもしれない」と思いました。
でもその後、すぐに受診につなげることができませんでした。「受診が必要なレベルなのか」「様子見でいいのか」、その判断が自分の中でつかなかったのです。責任が重くて、足が重くなる感覚がありました。動けば動くほど自分の判断が問われる。わからないまま1週間が過ぎました。
受診につながったのは、別の通院がきっかけだった
その日は別の利用者さんの手術の付き添いがあり、自分は動ける状況ではありませんでした。代わりにサビ管に通院を任せる際、「褥瘡があるので今日の診察で一緒に診てもらってほしい」と伝えました。ちょうど同じ病院に別の利用者さんの通院で付き添っていた施設の看護師がいて、サビ管からその話を聞いて医師に処方をお願いしてくれたのです。
直接動けたわけではありませんでしたが、繋ぐことはできました。施設での処置が必要と判断され、必要な資材も処方してもらえました。ただ、これは偶然に助けられた綱渡りで、仕組みではありませんでした。
なぜ動けなかったのか——「相談できる相手がいない」という構造
自分の能力の問題だけじゃないとは思っています。でも言い訳にもしたくありません。
施設の看護師は、受診の判断をひとりで抱えることが多いです。「これは受診レベルか」を相談できる医療職が、施設の中にいない。病院なら隣の先輩に「これどう思います?」と聞けますが、施設ではその一言が言えないまま、判断だけが自分に残ります。迷いが「様子見」という名の停滞に変わっていく——今回それを身をもって経験しました。
同じ迷いを抱えた人へ——受診判断の目安を整理した
反省だけで終わらせないために、「迷ったときにどう動くか」を自分なりに整理しました。あくまで私の整理であり最終判断は医師に委ねますが、参考までに共有します。
・押しても消えない赤み(持続する発赤)がある
・水疱・皮むけ・ただれなど、皮膚の損傷が見える
・浸出液(じゅくじゅく)やにおいがある
・数日たっても改善しない、範囲が広がっている
→ どれか一つでも当てはまれば、様子見にせず嘱託医・受診先に相談する。そして何より——「迷った時点で相談する」のがいちばん安全です。「これくらいで聞いていいのか」と思う段階で聞く。1週間動けなかった私の、いちばんの学びです。
そしてもう一つの学びは、発見・判断・ケアを看護師ひとりで抱えず、施設の仕組みにすることです。この続きは「褥瘡ケアは仕組みで守る」の記事と、サビ管への提案実例の記事に書いています。
そもそも悪化させないために——日常でできる予防
受診判断とあわせて大事なのが、日常の予防です。特別なことではなく、①入浴・着替え・おむつ交換のときに骨の出ている部位(仙骨部・かかと・肘など)の皮膚を見る習慣 ②長時間同じ姿勢が続く方の除圧・体位変換 ③食事量の低下を見逃さない(栄養状態は皮膚の回復力に直結します)——この3つを、看護師と支援員さんで分担して続けることです。予防と早期発見の仕組みづくりについては、続編の「褥瘡ケアは仕組みで守る」で詳しく書いています。
✅ 褥瘡らしき状態に気づきながら、受診判断がつかず1週間動けなかった
✅ 施設看護師は「相談できる医療職が近くにいない」構造の中で判断を抱えやすい
✅ 持続する発赤・皮膚損傷・浸出液・悪化傾向——ひとつでもあれば様子見にしない
✅ 「迷った時点で相談」がいちばん安全。抱え込みは停滞に変わる
✅ 個人の頑張りではなく、仕組みにすることが再発防止になる
※ 本記事は障害者支援施設で働く現場看護師の一次情報・体験に基づく内容です。事例は特定を避けるため一部抽象化しています。医療的な判断や処置については、必ず医師・専門家にご相談ください。



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