障害者施設の褥瘡ケアは仕組みで守る|看護師ひとりで抱えない体制のつくり方

現場の看護記録
褥瘡(じょくそう)ケアというと「看護師の仕事」と思われがちです。私もそう思って、ひとりで抱えていました。でも施設看護の現実は、通院同行・記録・他の利用者さんへの対応で、褥瘡リスクのある方をずっと見ていられる時間などないんですよね。

障害者支援施設で働く現場3年目の准看護師です。気づいていた褥瘡を、別の通院に乗っかる形でようやく受診につなげたあと、施設の会議でその件を報告したところ、上司から「早急に対応するように」と言われました。軽く尻を叩かれた感じです。その言葉をきっかけに、ぼんやりしていたことが整理されてきました——褥瘡ケアは、看護師ひとりで抱え込むものじゃない、と。

この記事では、①褥瘡リスクが日常にある利用者さんの現実 ②「支援員が動いてくれない」の本当の理由 ③仕組みに落とすときの3点セット、を書きます。

障害特性から、同じ姿勢が長時間続きやすい利用者さん

今回対応しているのは、障害特性上、生活のルーティンが固定されやすく、長時間同じ姿勢で過ごすことが多い利用者さんです。「姿勢を変えましょう」と声をかけるだけでは動いてもらえないこともあり、関わり方そのものを工夫する必要があります。こういった方の場合、褥瘡が発生するリスクは日常的に存在していて、予防的な視点で動けているかどうかが問われます。

正直なところ、目が届かない時間のほうが多い

褥瘡ケアの2本柱は体位管理と創処置です。初期であれば創処置よりも体位管理の比重が大きく、早めに除圧できれば悪化を防げます。

ただ現実として、看護師がずっとそばにいられるわけではありません。通院の同行、記録の作成、他の利用者さんへの対応——日中はいろいろ重なります。「もっとこまめに確認できれば」と思いつつ、そうもいかないのが正直なところです。

「支援員が動いてくれない」のは、やり方がわからないから

「支援員さんが体位変換してくれればいいのに」と思ったこともありました。でもそれだけ言っても、なかなか動いてもらえません。なんでだろう、と考えていました。

支援員さんが体位変換をしないのは、関心がないからではないと思います。「何を・どのタイミングで・どうすればいいか」がわからない状態になっているだけで、やり方が伝われば動いてもらえるはずです。

看護師の役割は、全部自分でこなすことじゃないんですよね。判断して、伝えて、動ける状態を作ること。そこまでが仕事なんだと、上司に発破をかけられて改めて考えました。

仕組みに落とすときの3点セット

整理すると、支援員さんに動いてもらうために共有すべきは、この3つに集約されます。

① タイミング——いつ確認・体位変換するか(新しい業務を増やすのではなく、今ある訪室のタイミングに乗せるのがコツ)
② やり方——どの姿勢にするか、何を見るか(皮膚の赤みの有無など、見るポイントを絞って具体的に)
③ 記録——確認したら何にどう残すか(記録が残れば、誰がいつ動いたかが見える)

ただし、看護師が一方的に「こうしてください」と決めて渡しても、現場にそぐわないものができあがるだけです。その利用者さんの日常の様子や関わり方は、支援員さんのほうがよく知っています。その知識と看護師の医療的な判断を合わせながら、現場で使えるものに仕上げていく——実際にこの3点セットをサビ管に提案して全面同意をもらうまでの経緯は、続編の「体位変換を現場に定着させるには」に書きました。

仕組みが動き始めたら——看護師の仕事は「評価と改善」に変わる

仕組みを作って終わり、ではありません。動き始めたら、看護師の仕事は記録を見て評価し、改善することに変わります。記録シートに空欄が続く時間帯はないか(=現場の動線に合っていない可能性)、皮膚の状態は実際に改善に向かっているか、悪化のサインが出たとき誰がどう看護師に繋ぐか。特に最後の「エスカレーション基準」——どんな状態を見たら即報告してほしいかを先に決めて共有しておくと、仕組みは安全に回り続けます。

📝 まとめポイント

✅ 褥瘡ケアの2本柱は体位管理と創処置。初期は体位管理(除圧)が特に重要
✅ 看護師が常に見ていることは不可能。だから個人の頑張りではなく仕組みにする
✅ 支援員が動かないのは関心がないからではなく、やり方を知らないから
✅ 共有すべきは「タイミング・やり方・記録」の3点セット
✅ 仕組みは看護師が押し付けるのではなく、現場と一緒に作る

※ 本記事は障害者支援施設で働く現場看護師の一次情報・体験に基づく内容です。事例は特定を避けるため一部抽象化しています。医療的な判断や処置については、必ず医師・専門家にご相談ください。

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