知的障害の利用者さん退院当日、施設看護師がやること【入院シリーズ最終回】

現場の看護記録

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「無事に退院できた」という安堵と、「これで終わりじゃない」という現実が、退院当日には同時にやってきます。

入院準備から当日の付き添い、そして毎日の面会。ようやく迎えた退院の日も、施設看護師の仕事はまだ続きます。

この記事では、知的障害のある利用者さんの退院当日に実際に起きたことを、現場のリアルそのままでお届けします。

入院中の連絡は「毎日の面会」で補った

まず、入院中の連絡体制について振り返ります。

今回の入院スケジュールは、月曜日に入院、火曜日に片目、木曜日にもう片目の手術という流れでした。

私の面会は水曜日を除いてほぼ毎日。施設から病院まで片道1時間30分前後あっても足を運んだのには理由があります。入院直前に急遽個室変更になり、お母様に付き添いをお願いすることになった経緯があったから。顔を出さずにはいられなかったというのが正直なところです。

📋 面会時に確認していたこと

利用者さんの様子・表情

排便の状況

お母様からの情報共有

病棟スタッフへの確認事項

特に排便の確認は重要でした。今回の利用者さんは元々便秘気味で、お母様も日頃から気にされていたところ。入院中は食事内容や活動量が変わるので、より注意が必要でした。知的障害のある方は体調変化を言葉で伝えられないので、排便状況は体調のバロメーターとして毎回確認するようにしていました。

💡考察
「片道1時間半を毎日」は正直しんどいです。でも、お母様が毎日付き添ってくださっていたことで、面会時にリアルタイムの情報をいただけた。施設看護師とご家族が連携することで、遠距離入院でも利用者さんの状態を把握できたと思っています。

退院当日の流れ

退院当日も朝から病院へ向かいました。当日の流れはこんな感じです。

場面 内容
退院前の対応 洗髪対応の予定があったが、担当スタッフが来られずそのまま退院へ
会計 会計窓口で待ち時間あり。入院費の精算
次回予約 週明け月曜日に術後診察の予定が入る
施設へ帰還 利用者さんの状態は良好。元気に戻ることができた

退院前の洗髪が実現しなかった

退院前に病棟から「洗髪しますね」という話がありましたが、当日は実現しませんでした。手術後はしばらく自分での洗髪が難しく感染リスクもあるため、退院後の洗髪対応をあらかじめ施設側で準備しておく必要があります。「病院でやってくれる前提」で動くのではなく、帰施後の対応を先に決めておくのが安全です。

施設に戻ってからやること

施設に帰ってきてからも、やることはすぐ始まります。退院当日にやることをリストにするとこんな感じです。

📋 退院当日・施設に戻ってからのTODO

お迎え体制の確認

生活上の注意点をスタッフに共有

点眼薬の管理を担当スタッフに引き継ぐ

記録の作成

入院費等のお金の計算

点眼薬の引き継ぎは特に重要

今回の手術は眼科の手術だったので、退院後も点眼薬の継続管理が必要です。土日は看護師不在になるケースもあるため、誰が・何時に・どの目に・どの薬を点眼するかを明確にしてスタッフに引き継ぐ必要があります。

知的障害のある方の点眼は、本人が嫌がる場合もある。施設スタッフがスムーズに対応できるよう、「こういう声かけをするとやりやすい」という情報も一緒に伝えるのがポイントです。

退院後に起きた「想定外」:ご家族からの申し出

施設に戻ってから、もう一つ対応が必要なことが出てきました。

ご家族から「土日は自宅に連れて帰って面倒を見たい」という申し出があったのです。

入院中ずっと付き添ってきたご家族です。退院後も側にいたいという気持ちは、とても自然なことだと思いました。情が湧いてどうにもいかんかったんだろう、と。本当に優しいご家族です。

ただ施設側としては、術後の状態で外泊させることへの医療的な判断、事務長への確認など、すぐに「はい」とは言えない手続きが必要になります。

💡考察
ご家族の気持ちに寄り添いながら、施設として安全を確保するための手続きを踏む。この「温かさと手続きの両立」が、施設看護師の難しくも大切な仕事の一つだと感じました。

📖 入院シリーズをまとめて読む

知的障害の利用者さんの入院準備、施設看護師がやること【現場のリアル】
荷物・書類・連絡調整など、入院前にやっておくべき準備をまとめた第1回。

知的障害の利用者さんの入院当日、現場で起きた「想定外」3つ【施設看護師の体験記】
お箸忘れ・個室変更・精神科受診要請——入院当日に起きた3つの想定外を振り返った第2回。

まとめ:退院はゴールではなく「次のスタート」

退院の日は、ゴールではありません。施設に戻ってからも、医療的な管理・スタッフへの引き継ぎ・ご家族への対応と、やることは続きます。

今回のポイント

✓ 遠距離入院は毎日の面会で情報を補う

✓ 面会では排便確認など体調のバロメーターを必ずチェック

✓ 病院側の予告が当日実現しないこともある、施設側で備えを

✓ 退院当日は帰施後のTODOが一気に発生する

✓ 点眼薬など医療的管理の引き継ぎは明確に

✓ ご家族の気持ちに寄り添いながら手続きを踏む

入院シリーズはこれで一区切りです。準備編・当日編・退院編と3記事にわたって書いてきましたが、知的障害のある利用者さんの入院には、これだけ多くの「現場でしか分からないこと」があります。

「うちの施設ではこうしてる」「こんな経験があった」という情報があれば、ぜひXで教えてください。同じ立場の看護師同士でつながって、現場をよくしていけたら嬉しいです。

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